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COLUMN INDEX
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金の斧発見隊〜その7

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ニビシ醤油について

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歯磨きについて

▼no4▼
スーパーについて

▼no3▼
辛いものについて

▼no2▼
プロテイクについて

▼no1▼
福寿司について
その5 歯磨きについて

 歯がいいか悪いかは遺伝である。なんといっても我が家はみんな歯が悪い。そりゃもう悲しいほどに悪い。

 母もそうだ。彼女はかなりのケチなのだが歯医者の払いだけは渋ったことがない。ちなみにどういうタイプのケチかと言うと、私の誕生日に「おめでとう」の一言もなく「なぁ寒いからストーブ買うて」なんてぬかす人である。小金にうるさいというか、ちょっとしたものをおごられることや、タダでもらえる物にかなりうるさい。「ええ加減お金持ってるやろう、ストーブくらい自分で買い!」とこっちが言うと「あんたには何も言われへん」と逆キレされるという、かなり人を不愉快にさせるタイプのケチである。

その彼女がかつてこう言った「25歳までやったら歯の治療代を出したげる」と。母にとっては清水の舞台から飛び下りるほどに一大決心だったにちがいない。それほどに母は歯が悪いことが遺伝したのを気にしていたようだ。(どうして25歳までなんでしょうね?そのへんが小金にうるさい所以なんですが)

 うちの場合は母だけではなく、父も歯が悪かった。明治の人だったので昔の写真を見ると金歯を入れていた時代もあったようだ。アルバムを見ると「おお、戦時中の日本人!」と娘ながらに白黒の写真に突っ込んでしまうほどだ。

 そんな歯の悪い家系に生まれてしまったので、小学校、中学校と例の夏休み前の歯の検査で「歯医者に行くように」というあの紙を貰わなかったことがない。

 「また、歯医者の紙もらった」と母に言うと「しゃーないな、家系やわ」と必ず言われ、歯医者に連れて行かれたものだった。

 けっきょく私は歯の悪い娘という看板を下げたまま成人し、24歳の時にとうとう前の歯を手術することになった。まったくひどい話だが、19歳の時にかかった歯医者の処置が悪くて前の歯の根の骨が炎症を起こしていたらしい。4時間におよぶ手術のおかげで、前歯4本が差し歯になった。

 まぁ言いたいことはそういう話ではなくて、そのおかげでかなり歯に関するグッズのマニアであるということである。歯自体は若いときのこまめな治療が効いてここ15年ほど医者いらずだが、私にとって歯磨きは日課の中でもかなり重要なウエイトを占めている。

 その私が選んだ金の斧に匹敵する歯磨きは「なすの黒焼き」の歯磨きである。昔からなすの黒焼きには浄化作用があるとかで、歯磨きに用いられていたらしいが、それをチューブ入りの商品化したものが不動化学というところから発売されている。その名も「美の友ナスハミガキクロ」という逸品だ!

 どんなものかというと、見た目は真っ黒でイカスミをハミガキに混ぜたみたいな色である。味は別になすの風味があるというようなものではないが、かなり塩辛い。しかし、これで歯を磨けば差し歯であろうが、生の歯であろうが、ツルツルになる。しかも塩加減が効いてるのでいい感じのサッパリ度だ。普通のハミガキのようにやたら甘くて、スースーするミントの味なんかではない。本物の清涼感が味あえる。

 ただ、真っ黒のものを口に入れて、歯を磨くのだから鏡を見るとかなりグロテスクではある。朝起きて歯磨きしてる自分の顔を見たら、眉毛はないし、目ははれてるし、口元は殺気立ったお歯黒姿だし、この世のものとは思えないような感じだ。

 それでもこの歯磨きは金の斧だ。ロフトや東急ハンズのようなかなり品数の多い店にいかないと手に入らないので、興味のある方は捜して下さい。
わかぎえふ(Wakagi F)

役者・作家・演出家。2つの劇団「リリパットアーミー||」と「ラックシステム」を主催。作、演出、美術、出演を兼ねながらリリパットアーミーではコメディ、ラックシステムでは大阪弁のシチュエーションドラマを手掛け、交代で企画、上演を続けている。また、最近では独自の演出法からワークショップの依頼も多く、演劇関係者や劇場、企業などでも講師として教えている。エッセイストとしても著書多数。月産100枚以上の原稿を書くことで業界では有名。連載は週間、月間など会わせて10本以上。最近は小説、テレビ、ラジオの脚本も手掛けている。古典芸能やバレエ、映画、絵画への関心も高く、その方面でのテレビ出演も多い。
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