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真っ黒によどんだ人工的に作られた河川に向かって、俺は石を投げた。
その石は、きれいに、3回はねて沈んでいった。
4つの波紋は、お互い作用しながら広がっていくように見えたが、どす黒い川の水に流され消えていく。
俺は思いだす。昔は河童が住むぐらいきれいだったのになあ。と。
もちろん河童なんか住んでいなかった。昔と言っても30年ほど前で、川の汚染度は今とはそんなに変わっていない。
子供の頃、河童だと大騒ぎしたのも恐らく上流から流れてきた鶏の死体。
川の水は、人の心を映し出すのだろうか。
俺も、この世の中に住むにつれどす黒くなっていったのだろうか。
第3話:不変について
何年ぶりなんだろうか。俺は、小・中学校時代の友達、Y君に飲み屋で突然出会った。
Y君は最近昔の友達によく会っているそうで、誰が今どうしているとかを、色々話してくれた。Y君は、相変わらずテニスをしているみたいで日に焼けて真っ黒だった。中学時代、髪の毛が黒くて濃いので、本当に真っ黒けっけと言う感じのテニスボーイだったY君は、やはり真っ黒けっけのテニス野郎のままだった。仕事は、カメラマンをしているそうで、とても高い山にカメラを持っていって、ドキュメンタリーを撮った時の苦労を話していた。
俺は、うんうん凄いなあとうなずきながら、彼が離婚したという奥さんのことを気にかけていた。彼女は確か小学校6年生の時に転校してきた。隣の席になったのだった。チークトリックと言うバンドが大好きな眼鏡を掛けた華奢な色白な才女だった。あの時感じた少しあこがれのような気持ちを思い出したのだった。
Y君の日に焼けた黒い顔からちらちらと見える真っ白い歯が、なにかを話かける。俺は、もう一度聞き返した。この近くに森ちゃんの店があるというのだ。森ちゃん!この響き。中学を出てから、すっかり忘れていた。
よく遊んだものだった。彼は、色白で少しガタイのでかい男の子だった。ガタイのでかいせいか、よく上級生に目を付けられいじめられていた。
心はとても優しい子だったので、なんかかわいそうだなあと俺はいつも思っていたが、上級生にいじめられているのを助けるようなことはしなかった。少し罪の意識がよぎった。
しかし、彼に会えるのかと喜び勇んで森ちゃんの店に二人で出かけていった。Y君は、森ちゃんが俺を思い出すかどうか試そうというので、俺は深く帽子をかぶり眼鏡を掛けて店に突入した。
いらっしゃい。森ちゃんの少しはにかんだ感じのあの独特な声が聞こえてきた。もちろん24年ぶりなので、気づくはずはない。
Y君は、俺のことを自分の友達だと告げた。愛想良く、接客に余念のない森ちゃん。俺は懐かしさに負けてしまい、ついつい自分の学校が森ちゃんと同じであることを告げた。
するとどうだろうか、森ちゃんの表情が急に明るく、客に対するものとは全く別の、そう、中学校時代のあの森ちゃんの顔に戻った。ばれたか、と舌を出しながら、帽子を脱いだ。なんですぐ分かったんだと聴くと、森ちゃんは、目で分かったという。そのやさしい目は、全然変わっていないと。
俺は、嬉しくてたまらなくなる。
自分に、変わらない部分があったなんて。全く気がつかなかった。
そして森ちゃんも、Y君も、変わらないものを持ち続けている。
このことに、とても安堵感を覚えるのだった。
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腹筋善之介(Fukkin Zennosuke)
1989年1月、惑星ピスタチオを結成、座長となり、1990年1月、惑星ピスタチオ旗揚げ公演から10年間にわたり公演をうち続け、2000年に解散。NHK朝ドラ「オードリー」に、ハラカン、ハラキンの二役で出演。香港映画「ホークB計画」、1年間のワークショップ「SCS」の講師、西日本NTTのCM、G2プロデュース「天才脚本家」など、様々な分野に進出。
関連サイト:ホークインターナショナル(http://www.hawk.jp/) |
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